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『彼らの犯罪』樹村みのり著(2009年3月30日第1刷発行)~社会派コミックの秀作


朝日新聞出版から、樹村みのりの短編集『彼らの犯罪』が発行された。
1990年代初期の社会派作品を主に収録してある貴重なコミックスである。

表題作『彼らの犯罪』は、1988年~1989年にかけて起こった女子高生コンクリート詰め殺人事件の裁判傍聴記。

次の『親が・殺す』は1992年6月に起こった、埼玉県浦和市で、県立高校の教師とその妻が長年家庭内暴力を振るった長男を殺害するという事件の裁判傍聴記。

一女性としての作者の、実際に裁判を傍聴しての誠実な実感が描かれていている。
貴重な視点はいくつか提示されているが、それを強調するよりは、事実を事実としてとらえる実直な描き方が好ましい。

『夢の入口』は、某カルト集団の洗脳方法について、その具体的な手口を描いて告発している。
私にとっては、このコミックスの中で、この作品が一番心に沁みた。
感想は、まだまとまらないのだが。

他に『横からの構図』もおさめてある。『菜の花畑』シリーズのころの、ほのぼのとしたタッチの絵柄が懐かしく、うれしい。

しかし、旧朝日ソノラマ系の人々が企画・編集にあたっているのかも知れないが、天下の「朝日新聞出版」の刊行物にしては、造本はおそまつで、使用している紙質も悪い。重要なモノローグの誤植もある。
しかも樹村みのりという実力に比して社会的認知度の低い作家の、マンガとしてはかなり特殊な題材を扱った、1990年代初期の作品集だというのに2009年の今、発行するにあたり、誰か認知度のある適切な解説者の解説や、帯への推薦文を入れるくらいの配慮ができなかったのだろうか?
これでは、コアな樹村ファンにしか売れないだろうに。

こんなことをやっていると、まともな作家も読者も「朝日新聞出版」から離れていくぞ。

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テーマ : 漫画の感想 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

No title

はじめまして。yositakaといいます。
樹村みのりの作品をまた読めるとは、なんという僥倖。
書店に入るたびに、彼女の名はないかと探すことが習慣となってもう三十年以上にもなります。その幸せに出会えるのは数年に一度ながら、内容に裏切られたことは一度もありません。
今回はかつての『あざみの花』を思わせる裁判ものながら、内容はずっと深刻。
それでもなお、容疑者を描く筆致すら独特の端正なタッチで美しく描かれ、客観を貫こうとする凛とした姿勢を崩していません。
テーマに対する視点は確固としているのに、読者に判断を預けるように、投げられたボールのように終わる締めくくり。
彼女の作品は、読者にいつも対話の姿勢を求めているように感じられます。
本書で投げかけられた三つの問いかけは、重く切ないものでありながら、なお人間性への信頼を決して失わない『含蓄の微笑み』は健在です。
次の出会いはいつになるかわかりませんが、やはり待ち続けたい。

natunohiさんのおっしゃる通り、朝日の出版姿勢には残念なものを感じます。後輩に当たる、こうの文代さんの作品の見事な意匠などをみると、もう少し何とかならないものかと思います。せめては、こうしたブログでの口コミで読者を広げたいものです。v-20

コメントありがとうございます。

yositaka様、コメントありがとうございました。
なぜか、熱心な樹村ファンの集うサイト『笹生那実さんのお部屋』の掲示板でも、このコミックスについての話題は盛り上がっていないようです。
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Ink/5250/
なぜでしょう?

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